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国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会が募集していた平成28年度”未来を創造する”建設業「私たちの主張」作文コンクールで、弊社社員中込恭平君の作品「若者が語る建設業」が土地・建設産業局長賞を受賞しました!山梨県の社会人からただ一人の受賞です。
作品を紹介します。中込君の建設業への熱い思い、是非お読み下さい。

中込恭平 君
 
「最低でも5年は怒られるぞ」これは、建設会社に入社し右も左もわからない頃、上司が放った言葉だ。
 あれから2年が経ち、現在入社3年目。今年は後輩ができ、先輩になったものの上司の言葉どおりまだまだ怒られることが多い。私の仕事は土木工事の現場管理。人生初の現場は盛土工事だった。初めての仕事に不安と緊張はあったが、「やってやるさ!」とやる気満々だったのは最初だけ、自分の描いていた青写真どおりにならない日々。雨の日、炎天下でも仕事をした。残業は毎日あった。朝も早かった。肉体的・精神的に辛かった。それでも、辞めたいという気持ちは湧いてこない。それは、厳しい気象条件にも関わらず、黙々と働き続ける職人。ただならぬ情熱を持ち、徹底的に現場を管理する上司。身近にいる人たちの仕事に対する想いを肌で感じ、支えとなる言葉を、上司にかけていただいたからだろう。
 現場管理と一言で表せるが、仕事の内容はさまざま。作業計画・資材発注・安全管理・出来形管理・品質管理・工程管理、トラブルの対応に職人さんへの指示と、山のように仕事があった。怒られ、四苦八苦しながら仕事をこなす。そんな日常で、上司が言った。「初めから仕事ができる人なんていない。わからないことがあって当然だ。怒られながら仕事を覚えるのが今、君の仕事だぞ。」
 胸に突き刺さる言葉だ。すぐに野帳を取り出し、最初のページに大きく「怒られるのが今の仕事」と書く。書いた文字を読み返し、精一杯仕事をしようと思った。すると職人さんに委縮しなくなり、自分の方から積極的に話しかけることができた。そして、建設業最大の魅力に気づいたのだ。それは、多くの人と出会えること。現場で仕事をする職人さんは多種多様で挙げきれないほど。他にも、資材業者・生コン業者・誘導員と盛りだくさん。そんな出会いの中、話をしていると仕事に対する熱い想いが伝わってくる。その想いを前面に出している方は少ないのだが、皆、胸の内で黙々と燃やしているように感じる。そんな熱い想いを持った人々が協力し、構造物は出来上がっている。多くの人たちと1つの目標に向かい知恵を出し合い、工事を終えた時の充実感はたまらない。これまでの苦労が報われ、この仕事を選んで良かったと心の底から思えるのだ。
 建設業を語る上で、3Kの話は避けて通れない。「きつい」・「汚い」・「危険」この3つを称して使われる言葉だ。確かにそのとおりだと思う。しかし、そんな言葉で薄れてしまうほど、建設業の魅力は薄っぺらいものではない。建設業の魅力とは、社会基盤を作ること。純粋に、人のためになる仕事だ。皆さんも、雪が積もった早朝から建設会社の人たちが除雪作業をしているのを見たことがあると思う。私が入社した年は、100年に1度と称される大雪が山梨を襲い、県外へ続く道路は通行できず物流がストップ、地域によってライフラインは機能しなくなり、山梨が陸の孤島となった年。私は高校の卒業を控え、アルバイトという形で会社に通っていたのだが、自分の背丈を遥かに超える積雪で身動きが取れない状態。2日後、車で通行できるようになったが、歩道側にはまだ見上げるほど雪が積もっていた。私は会社の除雪作業に誘導員として参加。作業をしていると近隣の方から、「御苦労さまです。」や「ありがとうございます。」と声をかけていただいた。入社前で建設業界のことはさっぱりだったが、構造物を造るだけが建設業の仕事ではないと強く感じた。そして、「地域を支えているのだ」という激しい感情に襲われ、建設業界に足を踏み入れられたことを嬉しく思った。私たちがやっている仕事は人のためになり、地域を支えている。なくてはならない。そして、誰かがやらねばならない。その誇りと実感があれば、3Kという悪いイメージ以上に「魅力」・「やりがい」・「喜び」のある仕事だと断言できる。
 私の今後の目標は、上司から巣立ち自分で現場を管理すること。今以上に責任が重く、精神的な負担が増える。臨機応変に物事に対処する能力を高めなければならない。そのために、上司と一緒に仕事ができる今のうちに駄目な部分を指摘してもらい、改善する必要がある。つまり、もっと怒られなければならない。それが今、私の仕事であり、将来のためなのだから…。
 最後に、「建設業は3Kだけじゃない!」と建設業界で働く1人として声を大にして言いたい。

建設雇用改善推進の集い(H28/11/25)にて朗読する中込君
 中込恭平君、国交省・人材協「私たちの主張」作文コンクールでの土地建設産業局長表彰受賞おめでとうございます。

応募前に作文を読ませていただき非常に感動したことを覚えています。今回、あらためて文章を読み、恭平くんの我社での仕事ぶりや建設産業に抱く強い思いを感じました。

2年前に当社に入社した頃は、線が細くて現場での作業や人間関係の構築が心配でしたが、この様な強い思いを目にして、小生の老婆心であったと深く反省しています。当社のような中小零細企業でも、ベテラン職員の経験や知恵と、若い職員の行動力がバランスよく機能するならば、本当に良い企業になっていくと信じています。来年はまた新入社員が入社して恭平くんは若手職員のリーダーとしてのポジションになりますが、先輩たちの指導を受けながら頑張っていただきたいと思います。

 これからも、自分の足元をしっかり固めながら、「いつも明るい恭平くん」でいてください。今回の受賞本当におめでとうございました。

 

社長より